死後事務委任契約とは? ─ 「その後」を、生前に頼んでおく

備えの基礎知識

「自分が亡くなった後のことを、誰かに頼んでおける」

そういう仕組みがあることを、ご存じでしょうか。

遺言書は「財産を誰に渡すか」を決めるものです。でも、亡くなった後には、財産の話だけでなく、もっとたくさんの「手続き」が必要です。

病院の支払い、葬儀の手配、賃貸の解約、遺品整理──。これらを「あの人にお願いしておいた」と言えるのが、死後事務委任契約です。


「死後事務」って何をするの?

人が亡くなると、さまざまな「後始末」が必要になります。法律的な相続手続き以外の、実務的な手続きを「死後事務」と呼びます。

死後事務の例

医療・施設関係
– 入院費・施設利用料の支払い
– 入院・入居していた荷物の引き取り

葬儀・お墓
– 遺体の引き取り
– 葬儀・火葬の手配
– 納骨・永代供養の手続き

住まい
– 賃貸契約の解約
– 部屋の遺品整理・原状回復
– 光熱費・電話・サブスクなどの解約

行政・各種手続き
– 死亡届の提出
– 健康保険・年金の資格喪失手続き
– 銀行口座の解約

その他
– ペットの引き渡し
– SNS・メールアカウントの削除
– 知人・友人への連絡


誰に頼むの?

「家族がいるから任せられる」という場合は、必ずしも契約は必要ありません。でも、次のような方には特に関係のある話です。

  • 子どもがいない・配偶者がいない
  • 家族はいるが、遠方に住んでいて負担をかけたくない
  • 家族と疎遠で、頼みにくい
  • 誰かに迷惑をかけずに、自分のことを整えておきたい

そういう方が「信頼できる第三者(司法書士・弁護士・行政書士・NPOなど)」に、あらかじめ委託しておくのが死後事務委任契約です。


遺言書との違いは?

遺言書 死後事務委任契約
対象 財産の分け方 実務的な手続き全般
法的根拠 民法 委任契約(民法643条)
形式 自筆証書・公正証書など 公正証書で作成するのが安心
発効タイミング 死亡後(検認が必要な場合あり) 死亡後、受任者がすぐ動ける

遺言書+死後事務委任契約+任意後見契約の3点セットが、「生前から死後まで」を切れ目なくカバーする最も手厚い備えとされています。


費用はどのくらい?

契約書の作成(公正証書含む): 数万円〜20万円程度
死後事務の執行費用: 30万円〜100万円程度

合計の目安:50万円〜100万円程度

また、実際の葬儀費用・家賃精算・遺品整理費用などは別途かかります。これらを事前に受任者に「預託金」として預けておく方法もあります。


誰に相談すればいい?──専門職の選び方

司法書士 弁護士 行政書士 NPO・一般社団法人
死後事務委任契約の作成
不動産の相続登記 ◎ 唯一対応可
相続トラブル・調停
費用の目安 50〜100万円程度 80〜150万円程度 30〜70万円程度 20〜50万円程度

不動産をお持ちの方は、最初から司法書士に相談することをお勧めします。


「いつ」作るのがいい?

元気なうちに、が大原則です。契約には「判断能力があること」が必要です。「まだ早い」と感じている方こそ、早めに専門家に相談してみてください。

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