「後見人」って、誰がなるの?── 成年後見制度のしくみと、大きく変わる法改正の話

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「成年後見制度」という言葉を聞いたことはありますか?

認知症になった親の銀行口座が動かせなくなった、という話を身近で聞いたことがある方もいるかもしれません。そのときに「後見人を立てないといけない」と言われる、あの制度です。

でも「自分には関係ない」と思っていませんか?

一人暮らしの方にとって、この制度は他人事ではありません。判断能力が衰えたとき、動いてくれる人がいないと、自分の財産にも自分の意思にもアクセスできなくなるのがこの問題の核心だからです。


成年後見制度って、なに?

成年後見制度は、認知症・知的障害・精神障害などで判断能力が低下した人を、法的に支援する制度です。2000年にスタートし、25年以上の歴史があります。

大きく2つに分かれています。

法定後見任意後見
いつ判断能力がすでに低下してから判断能力があるうちに準備
後見人を選ぶのは家庭裁判所自分
内容を決めるのは法律で定まった範囲自分と後見人の契約

この記事では、まず「法定後見」を中心に説明します。任意後見については後半と関連記事で詳しく触れます。


法定後見のしくみ

法定後見は、本人の判断能力の状態によって3段階に分かれています(現行制度)。

種類対象支援者の名前
後見ほぼ判断能力がない状態成年後見人
保佐判断能力が著しく不十分保佐人
補助判断能力がやや不十分補助人

家庭裁判所への申立てによって開始し、裁判所が後見人を選びます。家族を希望しても、弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることも多いのが現状です。

何をしてくれるの?

後見人は、本人の代わりに財産の管理や各種手続きを行います。

  • 預貯金の管理・引き出し
  • 不動産の売却・管理
  • 医療・介護サービスの契約
  • 行政手続き

ただし、食事や入浴などの身体介護は含まれません。あくまで「手続き・契約の代理」です。

現行制度の課題

「便利そう」に聞こえる法定後見ですが、利用者からは長年こんな声が上がっていました。

  • 一度始めると、原則として一生終わらない(終身制)
  • 後見人を選べない。途中で変更も難しい
  • 不動産の売却など「目的が一つ」でも、全財産の管理が必要になる
  • 費用(後見人への報酬)が毎月かかり続ける

こうした使い勝手の悪さから、「使いたいけど使いにくい制度」と言われてきました。


大きく変わります──2026年法改正の内容

2026年6月、成年後見制度に関わる民法改正が成立しました。施行は公布から2年6か月以内、早ければ2028年ごろの見込みです。

① 3つの種類が「補助」に一本化される

現行の「後見・保佐・補助」という3段階の区分が廃止され、「補助」に一本化されます。支援者の名称も「補助人」に統一。

② 「終わらない制度」から「終われる制度」へ

最大の変化はこれです。目的が達成されたり、本人の状態が改善されたりした場合に、家庭裁判所の判断で制度を終了できるようになります。

たとえば「実家の不動産を売るためだけに後見を使いたい」という場合、売却が終わったら終了できる。これが今まではできなかったのです。

③ 必要な範囲だけ、権限を設定できる

補助人の権限を「この手続きだけ」と限定して設定できるようになります。本人のニーズに合わせたオーダーメード型の支援が可能になる見込みです。

④ 後見人を変えやすくなる

現行制度では後見人の変更が難しかったのですが、改正後は一定の条件のもとで変更しやすくなります。


改正後もすぐに動けるわけではない

法改正は成立しましたが、施行は2028年ごろ。さらに、施行後も家庭裁判所の運用が整うまでに時間がかかるでしょう。

「改正されてから考えよう」では、いざというとき間に合わないかもしれません。


「元気なうちに」できる準備がある──任意後見という選択肢

法定後見は、判断能力がすでに低下してから使う制度です。

でも実は、判断能力があるいまのうちに準備できる方法があります。それが「任意後見制度」です。

任意後見の一番の特徴は、後見人を自分で選べること。誰に何をお願いするかも、自分で決めた契約内容に沿って動いてもらえます。

「認知症が不安になってきた」「一人暮らしで将来が心配」という方は、判断能力がある今のうちに準備しておくことが、自分の意思を守る最善の方法です。

法改正の影響で法定後見が「終われる制度」になる一方、任意後見は引き続き「元気なうちに自分で決める」制度として存続します。むしろ、「まず任意後見で備えておき、どうしても必要になったら法定後見を使う」という流れが、今後ますます自然な選択になっていくと思います。


まずどこに相談すればいいか

成年後見制度の申立ては、本人の住所地を管轄する家庭裁判所が窓口です。

また、全国の市区町村に「成年後見センター」や「地域包括支援センター」が設置されており、制度の相談ができます。司法書士・弁護士の事務所でも相談を受け付けているところが多いです。


合わせて読みたい任意後見制度って、なんですか? ── 元気なうちに自分で決めておく方法


参考:法務省「成年後見制度・成年後見登記制度」 / 法務省「成年後見制度 Q&A」 / 行政書士法人Legal Life Agency「成年後見制度改正2026」/ A&T司法書士事務所「2026年民法改正」

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