あとのこと、誰に頼む?

備えの基礎知識

「自分が亡くなったあと、手続きは誰がやってくれるんだろう」

そんなことを考えたことはありますか。「誰かが自然に動いてくれる」とは限らない時代です。独り暮らしの方、身寄りのない方、「人に迷惑をかけたくない」と思っている方にとっては、これはとても切実な問いです。

実は、「あとのことを誰かに正式に頼む」という方法があります。それが死後事務委任契約です。


死後事務委任契約とは

死後事務委任契約とは、「自分が亡くなった後に必要な手続きを、信頼できる誰かに代わりにやってもらう」ための契約です。

生前に、依頼したい内容・依頼する相手・費用を決めて契約しておきます。亡くなった後は、契約した相手がその内容を実行してくれます。


誰に頼める?

専門職(弁護士・司法書士・行政書士など)

もっとも確実な方法。費用はかかりますが、法律的な裏付けがあり、確実に実行してもらえます。

信頼できる知人・友人

法律上は、専門職でなくても委任することができます。ただし、負担が大きい・関係が変わるリスクがあるため、丁寧な話し合いが必要です。

NPO・支援団体

一人暮らしの高齢者を支援するNPOの中には、死後事務委任を受けているところもあります。


頼める内容

死後事務委任契約に含められる主な内容は、次のとおりです。

行政手続き

  • 死亡届の提出
  • 年金・健康保険の停止手続き
  • 介護保険証の返納

金融・契約

  • 銀行口座の解約
  • クレジットカードの解約
  • 公共料金・サブスクの解約

住まい・遺品

  • 賃貸の解約・原状回復
  • 遺品整理

葬儀・納骨

  • 葬儀の手配(希望する形式で)
  • 納骨・埋葬

遺言書との違い

よく混同されますが、死後事務委任契約と遺言書は別のものです。

死後事務委任契約遺言書
目的死後の手続きを「誰かに動いてもらう」財産の分け方・相続を決める
対象手続き・実務財産・遺産
必要性特に身寄りのない方・一人暮らしの方財産の相続先を指定したい方

両方が必要な場合もあります。どちらが自分に必要か、専門職に相談してみましょう。


いくらかかる?

費用は依頼内容・依頼先によって異なりますが、一般的な目安は次のとおりです。

  • 契約書作成費用:5〜15万円程度
  • 実行費用(死後の手続き実費):30〜80万円程度
  • 合計:50〜100万円前後が目安

費用は事前に預託(あずけておく)するケースが多く、亡くなった後に精算する形が一般的です。


誰に相談すればいい?

司法書士・弁護士・行政書士に相談するのが近道です。地域によっては、無料相談窓口もあります。

「まずは話を聞いてみる」だけでも、ずいぶん整理されます。


「あとのことは誰かがなんとかしてくれる」と思っていても、身寄りがない場合は誰も動けません。自分から動いて「託す相手」を決めておくこと。それが、最期まで自分らしくいるための、大切な準備です。

この記事はシリーズ「備えの基礎知識」の一つです。

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