亡くなったあとの手続き、誰が・いつ・何をするの?

備えの基礎知識

人が亡くなった後には、「誰かが動かなければならない手続き」がいくつもあります。

しかも、そのうちのいくつかには期限があります。悲しんでいる時間もないまま、次々と判断を迫られる。それが今の日本の現実です。

「そうなったとき、困らないように」——この記事では、死後の行政手続きを時系列で整理します。自分が亡くなった後のことを考えるための手がかりとして、また、今まさに手続きを進めている方の参考として、読んでみてください。


死後の手続きは「誰がやるか」から始まる

まず大事なのは、誰が動くかを決めておくことです。

法律上の義務として定まった人はいません。一般的には相続人や同居していた人が動くことが多いですが、ひとり暮らしの方・身寄りのない方は、生前に「死後事務委任契約」を結んで、託す相手を決めておく必要があります。

「誰に頼むか」が決まっていると、残りの準備もぐっと具体的になります。


手続きのタイムライン

▼ 当日〜翌日(最優先)

① 死亡診断書をもらう 病院や医師から「死亡診断書」が発行されます。この書類がすべての手続きの起点になります。コピーを複数枚とっておきましょう(各手続きで必要になります)。

② 葬儀社に連絡する 遺体の搬送と安置が必要です。葬儀社は24時間対応しているところがほとんどです。

③ 関係者へ連絡する 職場、親しい人、お世話になった人たちへ連絡します。


▼ 7日以内(急ぎ)

④ 死亡届の提出 死亡診断書と同じ用紙の左半分が「死亡届」です。記入して市区町村役場に提出します。葬儀社が代行してくれることが多いです。

⑤ 火葬許可証の取得 死亡届と同時に発行されます。火葬の際に必要です。

この2つは葬儀社が動いてくれることがほとんど。ただし、誰かが死亡診断書を持っていることが前提です。


▼ 14日以内

⑥ 年金受給の停止 年金を受け取っていた場合、受給停止の手続きが必要です。窓口は年金事務所または街角の年金相談センター。 未支給分の年金を請求できる場合もあるので、忘れずに確認しましょう。

⑦ 健康保険の資格喪失 国民健康保険の場合は市区町村役場、会社の健康保険(協会けんぽなど)の場合は勤務先経由で手続きします。保険証を返納します。

⑧ 介護保険証の返納 65歳以上の方は介護保険証があります。市区町村へ返納します。

⑨ 世帯主変更の届出 故人が世帯主だった場合、14日以内に新しい世帯主を届け出ます(市区町村役場)。


▼ できるだけ早く(数週間〜数か月)

⑩ 銀行口座の解約・相続手続き 死亡が確認されると銀行口座は凍結されます。解約・相続には、戸籍謄本・遺産分割協議書などが必要で、銀行ごとに書類が異なります。時間がかかることが多いので早めに動きましょう。

⑪ 生命保険金の請求 生命保険は自動では払われません。保険会社に連絡して請求手続きが必要です。請求期限は3年のものもあります。

⑫ クレジットカード・サブスクの解約 放置すると引き落としが続きます(NHKの受信料が何年も引き落とされ続けたケースも)。カード会社へ連絡して解約します。

⑬ 賃貸の解約・遺品整理 借りていた部屋がある場合、契約を解約して原状回復・遺品整理が必要です。費用がかかることも多く、業者選びは慎重に。


▼ 10か月以内

⑭ 相続税の申告(必要な場合) 相続財産が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合、相続税の申告が必要です。税理士へ相談しましょう。

⑮ 不動産の相続登記 2024年から義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記が必要です。過去の未登記物件にも適用されます。


手続きが多すぎる、と感じたら

これだけ並べると、圧倒される気持ちになるかもしれません。

でも、これらを全部「一人でやらなければならない」わけではありません。

  • 葬儀社:死亡届・火葬許可証の代行
  • 司法書士:相続登記・遺産分割協議書の作成
  • 税理士:相続税の申告
  • 行政書士・弁護士:死後事務委任契約・遺言書の作成
  • 社会福祉協議会:身寄りのない方向けの生活支援・死後事務サポート

「誰に何を頼むか」を生前に決めておくことが、最も大切な準備です。手続きを代わりにやってくれる人がいれば、残された人の負担は大きく減ります。


自分でできる「今日の一歩」

  1. 死亡診断書・死亡届がどういうものか、一度確認しておく
  2. 年金・健康保険・銀行口座の情報をエンディングノートにまとめる
  3. 「もし自分が亡くなったとき、誰に連絡してほしいか」を書き出す

「全部決めなきゃ」と思わなくていいです。一つ知るだけで、少し安心できる。その積み重ねが準備になります。


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