病院や薬局でマイナンバーカードをかざすと、機械の画面にこんな質問が出ることがあります。
「薬剤情報・特定健診情報を医師・薬剤師に提供しますか?」
時間もないし、よく分からないからとりあえず「いいえ」——そんな方も多いのではないでしょうか。
この確認、実は複数の病院に通っている方にとって、薬の安全を守る大切な仕組みです。「何に同意しているのか」「断ったらどうなるのか」を、一度きちんと確認しておきましょう。
これは何の確認なのか
マイナ保険証(マイナンバーカードを健康保険証として使う仕組み)を医療機関で使うと、「情報提供への同意確認」が求められます。
同意すると、今受診している医師や薬剤師が、過去3年間に処方された薬の情報や、特定健診(メタボ健診)の結果を確認できるようになります。
重要なのは、情報が自動的に共有されるわけではないという点です。あなたが「はい」を選んだ医療機関だけが、その情報にアクセスできます。毎回の受診ごとに同意を確認する仕組みなので、「一度同意したら全部の病院に一生バレる」ということにはなりません。
同意するとどうなるか
医師側ができること
「この方は他の病院でこの薬をもらっているのか」と確認できます。たとえば、内科で血圧の薬を処方する前に、整形外科ですでに似た成分の薬が出ていないかを確認できます。
重複投薬・飲み合わせ事故の防止に、直接つながります。
薬剤師側ができること
調剤するときに、他院での処方歴を確認しながら、飲み合わせのチェックができます。「先月の別の薬局でこの成分が出ていますね」という声がけが可能になります。
患者側のメリット
毎回お薬手帳を持参しなかったり、複数の薬局を使っていたりする場合でも、処方履歴がデジタルで引き継がれます。また、救急搬送時にマイナ保険証があれば、救急隊員が服薬情報を確認できる「マイナ救急」にもつながります。
「同意しない」を選ぶ理由と、その影響
「どこの病院に通っているか、知られたくない」という方もいます。精神科・心療内科・HIV関連など、他の診療科に知られることへの不安は、正当な感情です。
同意は完全に任意です。「いいえ」を選んでも、診察が断られたり、不利益な扱いを受けることはありません。
ただし、同意しない場合は、今日の担当医・薬剤師は他院での処方情報を確認できません。複数の病院に通っている方が同意しない場合は、お薬手帳を毎回持参して見せることが、その代わりとして重要になります。
「項目ごと」に選べることを知っていますか?
実は、同意は一括ではなく、項目ごとに選択できます。
- 薬剤情報(処方された薬の履歴)
- 特定健診情報(メタボ健診の結果)
- 手術・移植情報(※今後拡大予定)
「薬の情報は共有してもいいけど、健診結果は見せたくない」という選び方もできます。画面が出たときに、項目ごとのボタンを確認してみてください。
お薬手帳との違いと使い分け
マイナ保険証の情報連携とお薬手帳は、似ているようで少し役割が違います。
理想は両方を使うことです。マイナ連携はデジタルで自動的に処方歴が引き継がれる便利さがあり、お薬手帳は市販薬や漢方も自分で書き加えられ、紙として手元に残る安心感があります。
一度、設定を確認してみましょう
マイナポータル(スマートフォンのアプリまたはWebサイト)では、現在の同意設定を確認・変更できます。「以前何となく断った気がする」という方は、一度見直してみると安心です。
また、かかりつけの薬局を一つに絞ることも、薬の管理をシンプルにする有効な方法です。「かかりつけ薬局」があれば、そこで全処方を一元管理してもらいやすくなります。
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